パーシー・ビッシュ・シェリー「ナポリ近く失意のうちによめる歌」(抄) (上田和夫 訳)

しかし いまは絶望さえもやさしい
  この風と海のように――
わたしは疲れた子供のように伏し
  これまで耐え なお耐えねばならない
  憂きこの世を 泣いて忘れよう
やがて死は眠りのようにしのびより
  あたたかい大気のなかで 頬が冷え
海は死にゆく頭のうえで その
単調な最後のしらべをささやく。