韓愈「秋の懷ひの詩十一首(あきのおもひのしじふいっしゅ;秋懷詩十一首)」(抄) (原田憲雄)

浮生 多塗なりと雖も
死に趨くは惟れ軌を一にす
胡すれぞ浪に自ら苦むや
酒を得ては且つ歡喜せよ


ふせい たとなりといへども
しにおもむくはこれきをいつにす
なんすれぞみだりにみづからくるしむや
さけをえてはかつくゎんぎせよ


浮生雖多塗
趨死惟一軌
胡爲浪自苦
得酒且歡喜


人の生(よ)のみち多くとも
なべてみな死にむかふのみ
なにぞ然(さ)はおのれくるしむ
酒のみてかつはたのしめ