マルキ・ド・サド『悪徳の栄え』(澁澤龍彦 訳)

「君主が専制主義なしに支配しうるとでも思っているのかね? 権力は世論のうちにしかないものだよ。世論が変れば、君主も滅びる。世論を確固たらしめる唯一の手段は、したがって、人民を恐怖させ、人民の目に錯誤の目隠しをつけることにある。小人(こびと)が巨人になっては困るからな」