神沢利子「タンポポのうた」

たくさんうまれたカマキリの子も、大きくそだつのはほんの少しだという。大きくなるということは、たいへんなことなんだ。おれはきょううまれた。まん十一になった。でも、おれ、うまれたときのことしらない。あかんぼうのときもしらない。ただ、きがついたとき、しらないまにおれになっちゃってたんだ。どうして、おれがおれになったのか。