李白「月の下に獨り酌む 四首(つきのしたにひとりくむ よんしゅ;月下獨酌四首)」(抄) (青木正兒)

窮通と修短と
造化の夙に禀する所。
一樽 死生を齊しくす。
萬事固より審かにし難し。


きゅうつうとしゅうたんと
ぞうくゎのつとにひんするところ。
いっそん しせいをひとしくす。
ばんじもとよりつまびらかにしがたし。


窮通與修短
造化夙所禀
一樽齊死生
萬事固難審


貧窮と栄達、長寿と短命は、
造化(かみ)のつとに授くるところで、どうにもならぬ。
そこで一樽の酒を酌めば死と生とをさえ一様に思われてくる。
むろん世の中は不可解なことばかりだが、〔そんなことはどうでもよい。〕