黄山谷「張叔和に贈送す(ちゃうしゅくわにそうそうす;贈送張叔和)」(抄) (倉田淳之助)

我れ養生の四印を提げ
君が家に有る所 更に君に贈らん
百戦 百勝も
一忍に如かず
萬言 萬當も
一默に如かず
簡擇すべき無くんば 眼界 平
秋毫を藏さざれば 心地 直し


われやうせいのしいんをあげ
きみがいへにあるところ さらにきみにおくらん
ひゃくせん ひゃくしょうも
いちにんにしがず
ばんげん ばんたうも
いちもくにしかず
かんだくすべきなくんば がんかい たひらか
しうがうをかくさざれば しんち なほし


我提養生之四印
君家所有更贈君
百戦百勝
不如一忍
萬言萬當
不如一默
無可簡擇眼界平
不藏秋毫心地直


私は人生の訓として心にしっかり刻みつけるべき四つのものをあげて、
君の家にもあるところであるが、さらに君に贈ろう。
それは百戦百勝も
一つの忍に及ばない
万度も言ったことが皆道理に合って相手を負かしたとしても、
一つの黙を守るに及ばない
物事をえらびとる心がなければその人の見識は平かになる
少しのものも隠さなければ、心は直くなるであろう