『ラ・ロシュフコー箴言集』(二宮フサ 訳)

憐れみとは、多くの場合、他人の不幸の中にわれわれ自身の不幸を感じる気持である。それは、いつか自分が陥るかもしれない不幸に対する巧妙な備えである。われわれは他人を援けるが、それは自分が同じような目にあった時に、彼らがわれわれを援けずにいられないようにするためである。だからわれわれが彼らに寄せる親切は、正確に言えば、われわれがあらかじめ自分自身にほどこす恩恵なのである。