ホルへ・ギリェン(荒井正道 訳)

     「クローバ」(抄)
・めざめのたびに
 私の口はあなたの名まえに帰って行く
 水兵が港に帰って来るように


・私にとって無縁の人びと
 傍にあなたのあることを知らず
 私を孤独と考えるあの人びと

     「街角」(抄)
男はとあるカフェに入る。――どうしてもだめ。愉しかったが、あまりにも悪の華……この言葉は、いっせいに腹立たしい。〝善の華〟としてもがまんがならない。罪とは言えぬ、絶対に。地獄? いやもうけっこう。おれには無用。