岡本かの子「太郎への手紙」

えらくなんかならなくてもいい、と私情では思う。しかし、やっぱりえらくなるといいと思う。えらくならしてやりたいとおもう。えらくなくてはおいしいものもたべられないし、つまらぬ奴にはいばられるし、こんな世の中、えらくならなくてもいいような世の中だからどうせつまらない世の中だからえらくなって暮す方がいいと思う。