ジョン・ベリマン(澤崎順之助 訳)
「ブラッドストリート夫人賛歌」(抄)
・人間はおそらくまったく孤独なものです。
わたしは、自分自身の友人になろうと努力している
悲しみと激情とに満ちた男です。
・「お母さん、わたし死んだらどのくらい死んでいるものな
の?」
・わたしたちは一瞬も死んだりはしない。暗闇が明るくなる
だけのこと。
・わたしたちのこの土地はわたしたちの死者で満たされるに
いたった。
この土地こそわたしの憩いの場所。
・始まりは苦しく、終りもこんなに苦しい。こんなにも苦し
いものだろうか。
「(人生ってのは……)」(抄)
・人生ってのは、諸君、退屈なもんさ。が、そんなふうに言
っちゃいかん。
・人間にはもううんざり。
文学もうんざり、とくに名作ってやつは。
「(この世がだんだん生きているのも……)」(抄)
この世は不浄、悲しみは涙するにはあまりにもとりとめが
ない。
「(ヘンリーはよそ者……)」(抄)
古くからのおれの友人がもっと古くからのおれの友人に文
句をつけて
「なんでおまえもっとしょっちゅう会いにこないんだ」と
言うと
「おまえがおれの正体を見破りはしないかとこわいんだ」