蓮實重彦+武満徹『シネマの快楽』

蓮實 映画はね、異なるものを同時に肯定することだと思うんです。小津か溝口かという選択ではなくて小津も溝口もという具合に。よくキートン派とチャップリン派という区別をしますね。それをやりはじめると、ぼくはついチャップリンの悪口を言っちゃうことになるんだけど、やはりチャップリンもいい。二者択一はダメなんです。チャップリンというのはやっぱり二十世紀が持ち得た最大の抒情詩人だと思いますね。難しいこと言わなくていいんですね。