2009-03-21から1日間の記事一覧

ヴェルレーヌ「つれない世路(せろ)を」(全) (堀口大學 訳)

つれない世路を僕は歩いていました、 痛々しいほど不安な気持で。 親切なあなたの手が、道しるべになってくれました。 青ざめてほんのりと遠い地平に 夜あけの希望がほの見えていました。 あなたのまなざしが朝でした。 自分の高鳴る足音以外 旅人を鼓舞する…

岡田隆彦「史乃命」(抄)

喚びかける よびいれる 入りこむ。 しの。 吃るおれ 人間がひとりの女に こころの地平線を旋回して迫っていくとき、 ふくよかな、まとまらぬももいろの運動は 祖霊となって とうに おれの囲繞からとほくにはみでていた。