ヴェルレーヌ「つれない世路(せろ)を」(全) (堀口大學 訳)
つれない世路を僕は歩いていました、
痛々しいほど不安な気持で。
親切なあなたの手が、道しるべになってくれました。
青ざめてほんのりと遠い地平に
夜あけの希望がほの見えていました。
あなたのまなざしが朝でした。
自分の高鳴る足音以外
旅人を鼓舞するものとてなかったのでした。
その時あなたの声が言ってくれた、「もっとお歩きなさい」と。
内気な僕の心、沈みがちな僕の心が、
さびしい道でひとり泣いていました、
嬉しい征服者、恋愛が来て
よろこびのうちに二人を結びつけてくれました。