2009-03-22から1日間の記事一覧

バイロン「私は世を愛さなかった」(抄) (阿部知二 訳)

私は世を愛さなかった、世もまた私を―― 所詮、敵ならばいさぎよく袂(たもと)を別とう だが私は信じたい、彼らには裏切られたが 真実(まこと)ある言葉、欺きえぬ希望があり めぐみ深く、過失(あやまち)の穽(あな)をつくらぬ美徳があると また、人の悲しみを心…

アポリネール「雨がふる」(全) (堀口大學 訳)

思い出の中でさえも 死んでしまった女たちの声のような 雨がふっている おお 雨のしずくよ 僕の一生の楽しいめぐりあわせよ 君らもふっている 馬のように暴れまわる あの雨雲が 響きの市々(まちまち)の別天地をいななきだす 後悔とあざけりが 昔の音楽を泣い…