2010-10-15から1日間の記事一覧

説経節「小栗判官」

「変る心の、あるにこそ、変る心は、ないほどに」

説経節「小栗判官」

こんか坂にも、着きしかば、これから湯の峯へは、車道の、嶮(けわ)しきにより、これにて、餓鬼阿弥を、お捨てある。大峯入りの、山伏たちは、百人ばかりざんざめいて、お通りある。この餓鬼阿弥を御覧じて、「いざ、この者を、熊野本宮湯の峯に入れて、と…

説経節「小栗判官」

「海道七か国に、車引いたる人は多くとも、美濃の国、青墓の宿、万屋の君の長殿の、下水仕、常陸小萩と言いし姫、さて青墓の宿からの、上り大津や、関寺まで、車を引いて、まいらする。熊野本宮、湯の峯に、お入りあり、病(やもう)本復するならば、かなら…

説経節「小栗判官」

「この者を、藤沢の御上人の、明堂聖の、一の御(み)弟子に渡し申す。熊野本宮、湯の峯にお入れありてたまわれや。熊野本宮湯の峯に、お入れありてたまわるものならば、浄土よりも、薬の湯を上げべき」

説経節「小栗判官」

「この者を、藤沢の御上人の、明堂聖(めいどうひじり)の、一の御(み)弟子に渡し申す。熊野本宮、湯の峯に、お入れあって、たまわれや。熊野本宮、湯の峯に、お入れあって、たまわるものならば、浄土よりも、薬の湯を上げべき」

説経節「小栗判官」

人は、運命、尽きょうとて、智恵の鏡も、かき曇り、才覚の花も、散り失せて、昔が今に至るまで、親より、子より、兄弟より、妹背夫婦の、その中に、諸事のあわれをとどめたり。