説経節「小栗判官」

「海道七か国に、車引いたる人は多くとも、美濃の国、青墓の宿、万屋の君の長殿の、下水仕、常陸小萩と言いし姫、さて青墓の宿からの、上り大津や、関寺まで、車を引いて、まいらする。熊野本宮、湯の峯に、お入りあり、病(やもう)本復するならば、かならず、下向(げこう)には、一夜(いちや)の宿を参らすべし。かえすがえす」