2010-12-13から1日間の記事一覧

木下直之「出来事をうつす写真」(『日本の写真家 2 田本研造と明治の写真家たち』所収)

そもそも名所旧跡とは、高貴なる人物、あるいは著名なる人物がその地を踏んだ、そこで歌を詠んだという理由で出来上がっている場合が多く、それを伝えるものが名所絵であった。写真という新技術もまた、こうした伝統的な風景観を踏襲したにすぎない。

木下直之「出来事をうつす写真」(『日本の写真家 2 田本研造と明治の写真家たち』所収)

1871年に、開拓使は「音無榕山」を名乗る田本に札幌の撮影を命じている(明治4年8月20日付)。田本は1832(天保3)年に現在の三重県熊野市神川町に生まれ、23歳の時に長崎に赴いて蘭医吉雄圭斎の下僕となった。「音無」は故郷熊野の音無川に因み、「榕山」は長崎…

木下直之「出来事をうつす写真」(『日本の写真家 2 田本研造と明治の写真家たち』所収)

何人もの写真家、写真史家が口をそろえて語るところによれば、田本研造らの北海道の写真が彼らに与えた衝撃とは、日本写真史におけるドキュメンタリー写真の発見であった。

サガン『愛と同じくらい孤独』(朝吹由紀子 訳)

自信をなくすことのない人間っているかしら。わたしは自信を持つときがありません。だからこそ物を書いているのです。自信のないことがわたしの健康であるわけです。書くことは、十のうち九は間違えることです。

サガン『愛と同じくらい孤独』(朝吹由紀子 訳)

《若くなるためには長年かかる》とピカソが言いました。わたしは十年かかりました。