2010-12-30から1日間の記事一覧

中井精也『ゆる鉄』

現実のようで夢のような。 記憶のようで日常のような。

石川淳『森鷗外』

「抽斎」と「霞亭」といずれを取るかといえば、どうでもよい質問のごとくであろう。だが、わたしは無意味なことはいわないつもりである。この二篇を措いて鷗外にはもっと傑作があると思っているようなひとびとを、わたしは信用しない。「雁」などは児戯に類…

福永武彦「細い肩(挿話)」

「プラットフォームで、僕は彼女におめでとうと言った。彼女は困ったような顔をしていたが、やがて、お願いがあるのよ、と言った。僕が、何だい? となにげなく訊くと、あたしの肩を両手で揺ぶってみて頂戴、と言うじゃないか。僕はびっくりしたけど、言われ…