2011-01-24から1日間の記事一覧

レイ・ブラッドベリ『華氏451度』(宇野利泰 訳)

「まず、わしたちはつぎの考えを守らなければならん。自分たちはけっして、重要な人物でないことを思い知るべきだ。自分だけでは、なんの意味もない。いまこうして、重いおもいをしてもち運んでおる荷物が、いつかだれかの役に立つのだと、それだけを心がけ…

レイ・ブラッドベリ『華氏451度』(宇野利泰 訳)

「そして、本のことを――ゆうべはじめて、書物の背後には、それぞれひとりの人間がいることを知った。その人間が考えぬいたうえで、ながい時間をかけ、その考えを、紙の上に書きしるしたのが、あの書物なんだ。そのことを、ぼくはいままで、考えてもみなかっ…

レイ・ブラッドベリ『華氏451度』(宇野利泰 訳)

「本のなかには、なにかあるんだ。ぼくたちには想像もできないなにかが――女ひとりを、燃えあがる家のなかにひきとめておくものが――それだけのなにかがあるにちがいない。なんでもないもののために、だれだって焼け死のうとはしないからね」