2011-02-23から1日間の記事一覧

ドナルド・リチー『小津安二郎の美学――映画のなかの日本』(山本喜久男 訳)

つまり、日本の家そのものが一種の舞台なのである。日本の伝統的な家は、地面から離して建てられる。多くの壁は開閉のできる窓兼用の戸になっており、天気がよいとその戸が開かれて、まさに舞台のような空間があらわれる。家のなかにも、床の間という小さな…

ドナルド・リチー『小津安二郎の美学――映画のなかの日本』(山本喜久男 訳)

日本人にとって列車は今もなお、変化と神秘の運搬具であるからだ。遠くを走る列車の悲しげな響き、どこかで新しい生活を始めるために運び去られていく人たちへの想い、旅への憧れとノスタルジア――すべてこれらは、今なお日本人の感情をゆさぶる力を持ってい…