ドナルド・リチー『小津安二郎の美学――映画のなかの日本』(山本喜久男 訳)

日本人にとって列車は今もなお、変化と神秘の運搬具であるからだ。遠くを走る列車の悲しげな響き、どこかで新しい生活を始めるために運び去られていく人たちへの想い、旅への憧れとノスタルジア――すべてこれらは、今なお日本人の感情をゆさぶる力を持っている。