2011-05-31から1日間の記事一覧

コルタサル『石蹴り遊び』(土岐恒二 訳)

私の祖先たちの最大の特性は死者であるということである。私は慎ましく、しかし誇りをもってその特性を受け継ぐ瞬間を待ち望んでいる。

コルタサル『石蹴り遊び』(土岐恒二 訳)

「お願いだから窓を締めて」とタリタが言った。 「窓が開いているってことはなによりも必要なことなんだよ」とオリベイラが言った。

コルタサル『石蹴り遊び』(土岐恒二 訳)

彼はいろいろな意味において還りは往きであることに気がつき始めていた。

コルタサル『石蹴り遊び』(土岐恒二 訳)

「問題は」とラ・マーガは、ヒーターの上でミルクを搔きまわしながら言った。「幸福はたった一人のものでしかないのに、不幸はみんなのものらしいってことよ」 「当然至極の帰結です」とグレゴロヴィウスが言った。

コルタサル『石蹴り遊び』(土岐恒二 訳)

この世の誰にでも同様のことは起る、双面神像をきめこんでも無駄なこと、現に四十歳を過ぎればほんとうの顔はうなじにあって、絶望的に後ばかり見ているではないか。それこそまさに陳腐というものだ。なにもすることがない、ということを、一つ顔になった若…

コルタサル『石蹴り遊び』(土岐恒二 訳)

また人間はいつでも人間以上であり人間以下であるが、人間以上なのは人間はジャズが暗示しはぐらかし予兆しているものを内に持っているからであり、人間以下なのは人間はこの自由を美的・倫理的な遊戯に、その上で自らビショップかナイトになりすますところ…