コルタサル『石蹴り遊び』(土岐恒二 訳)

この世の誰にでも同様のことは起る、双面神像をきめこんでも無駄なこと、現に四十歳を過ぎればほんとうの顔はうなじにあって、絶望的に後ばかり見ているではないか。それこそまさに陳腐というものだ。なにもすることがない、ということを、一つ顔になった若者たちの唇が退屈のあまり捻り出した言葉でいえば、こう言うしかない。

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