2011-07-20から1日間の記事一覧

柄谷行人「掘立小屋での思考」

マルクスとかフロイトの出現以来、われわれは事物をいつも裏側からのぞくことになれた。しかし、それによって事物がよくみえるようになったわけではないので、逆にわれわれは事物の「表面」をみる能力をうしなったのであり、「表面」をみすえる努力をするか…

柄谷行人「場所と経験」

私は「人間」について多くのことを知っている。しかし、私が実際に知っているのは数えられるほどの少数の人間である。しかも、彼らを本当に知っているかといえば疑わしい。「人間」に関するどんな理念も、これらの生きた他者を説明できはしない。そして、こ…

柄谷行人「人間的なもの」

傲慢というのは、自分の用意したもの、自分の理解しうるものの領域の外に一歩でも出ないということである。

柄谷行人「藪の中」

厳密にいえば「大衆」などというものは存在しない。存在するのは個々の他者か、もしくは人々を動かしている構造性だけであって、あとはすべて心理的な投影物あるいは想像物にすぎないのである。