2012-01-17から1日間の記事一覧

G・K・チェスタトン「シーザーの頭」(中村保男 訳)

「なにが不思議だと言って、あなたほど不思議なものはありませんわ」と娘はさじを投げた格好で言った。「でも、あなたの不思議さのなかにはなにか中心がありそうだわ」 「なによりもおそろしいのは、中心のない迷路です。だからこそ無神論者は夜ごと悪夢にう…

G・K・チェスタトン「器械のあやまち」(中村保男 訳)

「あんたはいつも忘れておいでですよ」と神父は述べた――「その信頼にたる器械を動かすのは、いつも信頼できぬ器械だということをね」 「と言うと?」 「つまり人間ですよ。わたしの知っているかぎり、人間こそいちばん信頼できぬ器械なんです」