2012-01-30から1日間の記事一覧

ヘミングウェイ「キリマンジャロの雪」(高見浩 訳)

おれたちにはみな、生れたときから固有の才能が備わっているんだろう、と彼は思った。それぞれが暮らしを立てている、その在り様(よう)こそ、才能のしからしむるところなのだ。おれはこれまで、自分の活力をさまざまな形で売ってきた。人間というやつは、あ…

ヘミングウェイ「キリマンジャロの雪」(高見浩 訳)

おれは自分で自分の才能をぶち壊したのだ。そう、それを使わないことによって、自分と自分の信念を裏切ることによって。自分の感性の触手を鈍らせるほど酒を飲むことによって。怠惰によって。安逸によって。それから、俗物根性によって。誇りと偏見によって…

ヘミングウェイ「キリマンジャロの雪」(高見浩 訳)

嘘をつくというより、むしろ、語るべき真実がなくなってしまった、と言ったほうがいい。

ヘミングウェイ「キリマンジャロの雪」(高見浩 訳)

「驚いたことに、痛みが消えてしまうんだ」彼は言った。「それでわかったよ、とうとうきたか、と」