2012-02-17から1日間の記事一覧

高見順「描写のうしろに寝てゐられない」

作家は黒白をつけるのが与えられた任務であるが、その任務の遂行は、客観性のうしろに作家が安心して隠れられる描写だけをもってしては既に果し得ないのではないか。白いということを説き物語るためだけにも、作家も登場せねばならぬのではないか。作家は作…

高見順「描写のうしろに寝てゐられない」

描写は、――大きなことを言うようだが、近代の科学文明が文学のなかに齎らした光明である。文学のなかに点された電燈みたいなもので、今更、電燈を否定できないし、ここまできて否定したら、もともこもなくすることになるだろう。私の疑いは、描写の前に約束…