2012-03-10から1日間の記事一覧

寺山修司『花嫁化鳥』

だが、故郷を持つということは、風景を私有するということに他ならなかった。

寺山修司『花嫁化鳥』

私は遺失物捜索係の前に立って、途方に暮れながら思い出すように、不確実で、遠い存在――としてのみ、「ふるさと」の風景を定義づけることができた。「ふるさと」などは、所詮は家出少年の定期入れの中の一枚の風景写真に過ぎないのさ。と、私は思った。それ…

寺山修司『花嫁化鳥』

私は、ふと思った。少年時代から「ふるさと」の絵というのは、どうしてこんな風に遠景ばかりなのだろう。それは、私が十歩近づけばその分だけ遠ざかり、決して中へ入ることを許さない、遥かな風景なのであった。

寺山修司『花嫁化鳥』

私の考えでは、ヘンシーンするのは仮面をつけたときではない。人はむしろ、仮面をつけたときには安心して本当のことを言える。