2012-12-17から1日間の記事一覧

プーシキン「思い出」(金子幸彦 訳)

おもいでが 音もなく ながい巻物をくりひろげる。 わたしは嫌悪のこころをもって おのれの生涯を読みかえし 身をおののかせ のろいの声をあげ なげきつつ にがいなみだを流す。 けれども悲しい記録のかずかずは もはや消し去るよしもない。

石川淳『夷斎筆談』「風景について」

文人画の芸術家にとって、写生とは単にデッサンの稽古ではなかったのだろう。技術の練磨は生活の発見につながる。芸術と生活との可能はひとしく天地山川の間に求められるべきものであり、一草一木といえどもこの関係からのがれられない。蘭を描き竹を描く。…