プーシキン「思い出」(金子幸彦 訳)

おもいでが 音もなく
ながい巻物をくりひろげる。
わたしは嫌悪のこころをもって
おのれの生涯を読みかえし
身をおののかせ のろいの声をあげ
なげきつつ にがいなみだを流す。
けれども悲しい記録のかずかずは
もはや消し去るよしもない。