2012-12-21から1日間の記事一覧

ヘルダーリン「一八〇〇年の断片的草案」より(木田元 訳)

人間は苫屋に住まい、恥じらいの衣服に包まれている。内気で用心深くもあるからだが、巫女が神火を守るように魂(ガイスト)を守っているからだ。これこそが人間の分別である。だからこそ神々に似たものである人間には、自由が、つまり命令し遂行するより高い…

パステルナーク『ドクトル・ジバゴ』(江川卓 訳)

日常の暮しは跡形もなく崩れ去って、あとに残ったのは、およそ非日常的な、ものの役にも立たない力、それこそ一糸まとわぬまで丸裸にされてしまった魂の内奥だけなんだわ。でも、この魂の内奥にとっては何一つ変っていないの。だって、それはいつの時代だっ…