2012-12-22から1日間の記事一覧

モーリアック『蝮のからみあい』(鈴木健郎 訳)

私は自分の罪を感じ、みまもり、触って見た。私の罪は、全部が全部、子供への憎悪、復讐の願い、金への執着という、あの蝮の醜い巣から生れたものばかりとは言えない。このからみあった蝮の彼方にあるものを探求する努力を惜んだことに由来する罪もあった。…

ヘミングウェイ『日はまた昇る』(大久保康雄 訳)

闘牛場の中央で、ロメロは牛の正面で半身になり、ムレータのあいだから剣をひきだし、爪先で立って、長い刃に沿って狙いをつけた。ロメロが攻めると牛も襲いかかってきた。ロメロの左手にあるムレータが、相手の目をくらますために牛の鼻先へたれさがると、…