モーリアック『蝮のからみあい』(鈴木健郎 訳)

私は自分の罪を感じ、みまもり、触って見た。私の罪は、全部が全部、子供への憎悪、復讐の願い、金への執着という、あの蝮の醜い巣から生れたものばかりとは言えない。このからみあった蝮の彼方にあるものを探求する努力を惜んだことに由来する罪もあった。この穢らわしいからみあいが、私の心そのものででもあるかのように、また、この心臓の鼓動が、爬虫類の蠢きと入り乱れてでもいるかのように、私はこの穢らわしい蝮にばかりこだわっていた。