2012-12-23から1日間の記事一覧

エドガー・アラン・ポー『アッシャア家の没落』(谷崎精二 訳)

雲が押しかかるように低く空にかかった、もの憂い、暗い、そして静まりかえった秋の日の終日、私は馬に乗ってただ一人、不思議なほどうら淋しい地方を通り過ぎていった。そして夕暮の影が迫ってきたころ、とうとう陰鬱なアッシャア家の見えるところまでやっ…

魯迅『吶喊』自序(竹内好 訳)

私も若いころは、たくさん夢を見たものである。あとではあらかた忘れてしまったが、自分でも惜しいとは思わない。思い出というものは、人を楽しませるものではあるが、時には人を寂しがらせないでもない。精神の糸に、過ぎ去った寂寞の時をつないでおいたと…