魯迅『吶喊』自序(竹内好 訳)

私も若いころは、たくさん夢を見たものである。あとではあらかた忘れてしまったが、自分でも惜しいとは思わない。思い出というものは、人を楽しませるものではあるが、時には人を寂しがらせないでもない。精神の糸に、過ぎ去った寂寞の時をつないでおいたとて、何になろう。私としてはむしろ、それが完全に忘れられないのが苦しいのである。