2013-02-21から1日間の記事一覧

『資治通鑑』

己を任ずれば則ち不識の蔽(へい)有り、聴受すれば則ち彼此(ひし)の偏有り。 自分だけを信頼して行動すると、ものが見えなくなるし、他人の言うことを聴き入れるばかりでは、あちらこちらとかたよりができてしまう。

『孟子』

人必ず自ら侮りて、然る後に人之を侮る。 人は自分で自分を軽んじるようなことをするからこそ、他人がその人を侮辱するのである。

カート・ヴォネガット・ジュニア『タイタンの妖女』(浅倉久志 訳)

群集はなにも見えないことを知りながらも、現場の近くにいることに、のっぺりした塀を見つめて中の出来事を想像することに、めいめいが楽しみを見出しているのだった。実体化の神秘は、絞首刑の神秘とおなじように、塀によって強められていた。病的な空想と…

バルザック『ゴリオ爺さん』(平岡篤頼 訳)

要するにここには、詩情のない貧困が支配している。つつましい、凝縮した、すりきれた貧困。まだ泥にまみれてはいないが、しみだらけなのだ。穴もあいていないし、ぼろになってもいないが、いまにも腐り落ちようとしているのだ。