2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

亀井勝一郎『人生論』

謙遜ということは、一歩誤れば卑怯な手段になる。

ドストエフスキー『罪と罰』(工藤精一郎 訳)

「貧は罪ならず、これは真理ですよ。飲んだくれることが、善行じゃないくらいのことは、わたしだって知ってますよ。そんなことはきまりきったことだ。 しかし、貧乏もどん底になると、いいですか、このどん底というやつは――罪悪ですよ。貧乏程度のうちならま…

ドストエフスキー『罪と罰』(工藤精一郎 訳)

彼はいまでさえ、自分の計画のリハーサルをするために歩いているのだ、そして一歩ごとに、興奮がいよいよはげしくなってきた。 ※太字は出典では傍点

兼好『徒然草』

人にまされりと思へる人は、たとひ言葉に出でてこそ言はねども、内心にそこばくのとがあり。

徳冨蘆花『思出の記』

負けるが恐さの中立は卑怯の骨頂。

鈴木正三『反故集』

万事を露(あらわ)す許(ばかり)を以て、正直と云ふには非ざるなり。

ドストエフスキー『白痴』(木村浩 訳)

「いったい、みんなは何を心配したのでしょう? 子供にはどんなことだって話してかまわないのですよ。私はいつもおどろくのですが、一般に大人が子供を理解しないのはもちろん、両親でさえ自分の子供のことすらよく知らないんですね。まだ幼いからとか、まだ…

夏目漱石『書簡』(大正五年八月二十四日、芥川龍之介・久米正雄宛)

世の中は根気の前に頭を下げる事を知っていますが、火花の前には一瞬の記憶しか与えて呉れません。 *世の中は根気のある仕事には頭を下げるけれども、火花のように華やかではあるが短く終る仕事には少しばかりの記憶しか留めてくれない。

夏目漱石『書簡』(大正五年八月二十一日、芥川龍之介・久米正雄宛)

どうぞ偉くなって下さい。然し無暗(むやみ)にあせっては不可(いけ)ません。ただ牛のように図々しく進んで行くのが大事です。

夏目漱石『それから』

他(ひと)の親切は、其当時にこそ余計な御世話に見えるが、後になると、もう一遍うるさく干渉して貰いたい時機が来るものである。

ドストエフスキー『悪霊』(江川卓 訳)

なにせ女心というやつは、今日においてさえいまだに究めつくされぬ深淵にほかならないのだから!

ドストエフスキー『悪霊』(江川卓 訳)

けれど人間、あまりに高尚になりすぎると、その教養が多面的になるという理由ひとつだけからしても、えてしてシニカルな考え方に陥りがちなものである。

頼山陽『日本政記』

悪の大小は、才の高下に随ふ。才下(ひく)ければ、則ちその悪小なり。才高ければ、則ちその悪大なり。

亀井勝一郎『黄金の言葉』

劣等感におちいる一番大きな原因は、努力を放棄して、ただ空想している点にある。

太宰治『東京八景』

人間のプライドの窮極の立脚点は、あれにも、これにも死ぬほど苦しんだ事があります、と言い切れる自覚ではないか。

チェーホフ「かもめ」(神西清 訳)

トレープレフ ところが僕に言わせると、当世の劇場というやつは、型にはまった因襲にすぎない。こう幕があがると、晩がたの照明に照らされた三方壁の部屋のなかで、神聖な芸術の申し子みたいな名優たちが、人間の食ったり飲んだり、惚れたり歩いたり、背広を…

芥川龍之介『侏儒の言葉』

忍従はロマンティックな卑屈である。

夏目漱石『吾輩は猫である』

強情さえ張り通せば勝った気で居るうちに、当人の人物としての相場は遥かに下落して仕舞う。 *「不思議な事に頑固の本人は死ぬ迄自分は面目を施こした積りかなにかで、其時以後人が軽蔑して相手にして呉れないのだとは夢にも悟り得ない」と続く。

夏目漱石『書簡』(明治三十九年七月二十四日、中川芳太郎宛)

世を恐るるは非なり。生れたる世が恐しくては肩身が狭くて生きて居るのが苦しかるべし。

フローベール『感情教育』(生島遼一 訳)

「きみがいないでさ、ぼく一人どうして向うで暮らせるというんだ? (友人の悲観口調がまた彼を憂欝な気持にかえらしている)恋をする相手でもあれば、その女とどうにかしてもいられるだろうけれど……なぜ、笑うんだね。恋は天才の栄養、必要な雰囲気だよ。異…

横光利一『犬養健』

人はどうかして他人を軽蔑せずには生きていけない時が多分にある。軽蔑した瞬間に顔面に現れる表情と云うものはその人間の品性を最もよく表わすものだ。

坂口安吾『海の霧』

尊敬は恋愛の畢(おわ)りなり。

一遍『一遍上人語録』

知りて知らざれ。還(かえっ)て愚痴なれ。 *よく知った上で無知の人となれ。智者もかえって愚者となって念仏せよ、の意。

カフカ『アメリカ』(中井正文 訳)

「船の上じゃね、着いた港次第で道徳もかわるんだぜ」

J.D.サリンジャー「フラニー」(野崎孝 訳)

「つまりだね、本当に優秀な連中はだ――トルストイでも、ドストエフスキーでも、シェイクスピアでもいいや――奴(やっこ)さんたちは一人として言葉をしぼり出す圧搾器みたいな奴じゃなかってことをぼくは指摘したんだけど、こいつは完全に正しかったと思ってる…

谷崎潤一郎『The Affair of Two Watches』

黙する時、必ずしも考えず。

島崎藤村『新生』

涅槃に到達するよりも涅槃に迷いたい。 *中野の友人(蒲原有明がモデル)の言葉。「涅槃」は、心の迷いを断ち切った絶対的な悟りの境地をいう仏教用語。

近松門左衛門『平家女護島』

思い切っても凡夫心。 *「凡夫心」は、悟り切れない人の心。決心して鬼界が島に残ったはずの俊寛が、なお去って行く帆影を最後まで見送らずにはいられない心境を、見事に表した言葉。

カミュ『異邦人』(窪田啓作 訳)

日中はずっと、上訴のことを考えた。私はこの考えを、もっともよく利用したと思う。私は自分の財産を計算し、自分の反省から最大の効率を手に入れたのだ。私はいつも最悪の仮定に立った。即ち上訴却下だ。「そのときは死ぬときだ」他のひとより先に死ぬ、そ…

夏目漱石『虞美人草』

慰さめられる人は、馬鹿にされる人である。