2015-02-08から1日間の記事一覧

中村汀女

外(と)にも出よ触るゝばかりに春の月

相馬御風

大そらを静に白き雲はゆくしづかにわれも生くべくありけり

谷川俊太郎「二十億光年の孤独」

人類は小さな球の上で 眠り起きそして働き ときどき火星に仲間を欲しがつたりする 火星人は小さな球の上で 何をしてるか 僕は知らない (或はネリリし キルルし ハララしているか) しかしときどき地球の仲間を欲しがつたりする それはまつたくたしかなことだ

田村俊子「女作者」

この女作者の頭脳(あたま)のなかは、今までに乏しい力をさんざ絞りだし絞りだし為(し)てきた残りの滓でいつぱいになつてゐて、もう何(ど)うこの袋を揉み絞つても、肉の付いた一と言も出てこなければ血の匂ひのする半句も食(は)みでてこない。暮れに押し詰つ…