2015-06-02から1日間の記事一覧

「古詩十九首」(十九首の内一首)

生年百に滿たず、常に千歳(せんざい)の憂ひを懷(いだ)く。 晝(ひる)は短くして夜の長きに苦しむ、何ぞ燭を秉(と)って遊ばざる。 樂しみを爲すは當に時に及ぶべし、何ぞ能く來玆(らいじ)を待たん。愚者は費を愛惜して、但だ後世の嗤ひと爲る。 仙人王子喬(わ…

『伊勢物語』(第二三段/筒井筒)

昔、田舎わたらひしける人の子ども、井のもとに出でて遊びけるを、大人になりにければ、男も女も恥ぢかはしてありけれど、男は、この女をこそ得めと思ふ。女は、この男をと思ひつつ、親のあはすれども、聞かでなむありける。さて、この隣の男のもとより、か…

『伊勢物語』(第二三段/筒井筒)

昔、田舎わたらひしける人の子ども、井のもとに出でて遊びけるを、大人になりにければ、男も女も恥ぢかはしてありけれど、男は、この女をこそ得めと思ふ。女は、この男をと思ひつつ、親のあはすれども、聞かでなむありける。さて、この隣の男のもとより、か…

セリーヌ『なしくずしの死』(滝田文彦 訳)

〈不運〉の漠然とした前兆! わーい! 不測の悪意…… 〈運命〉は蟇(ひきがえる)が蠅を食べるように、祈りを食う…… 運命はそいつに飛びかかる! 圧し潰しちゃう! 殺す! 飲みこんじゃう! 運命は大喜びで、祈りをごく小さな糞(ふん)の塊、適齢期の令嬢にちょ…

セリーヌ『なしくずしの死』(滝田文彦 訳)

事業というものは少しでも規模が大きくなると、とたんに《事実それ自身によって(イプソ・ファクト)》、敵対的で、陰険で、巧妙で、倦むことのないさまざまな陰謀の的となる…… こいつはまちがいない!…… 悲劇的宿命が、その繊維の中まで忍びこんでくる……そし…

セリーヌ『なしくずしの死』(滝田文彦 訳)

ただ、われわれはもう遅れすぎていた!…… それでも汽車に乗り遅れた!…… そして、そいつはわたしのせいだった!…… もう《〇時四十分》のはだめだった!…… 今度は《二時十二分》のだった!…… その日の《始発》のだ!…… たとえばそいつに乗るのなら、われわれ…

セリーヌ『なしくずしの死』(滝田文彦 訳)

そりゃ、たしかにわたしだって悲しかった…… 母のことを不幸だと思った! まったくのところ、それはほんとうだった! でも、わたしは人前でべらべらしゃべるような悲しみは、持ち合わせがなかった! 特に母の前では!…… それになんといったって……やっぱり…… …

セリーヌ『なしくずしの死』(滝田文彦 訳)

天才はすぐ腐ってしまう!…… これが冷厳な事実だ!…… 天才は売れるものじゃない! 拾われるものだ! 《完全無料(グラチス・プロ・デオ)》なんだ。それはマッチよりも安い…… ところがきみらが優しくすると! 甘い顔を見せると! 贈物をやったり、今まで受けた…