2015-11-30から1日間の記事一覧

谷川俊太郎『六十二のソネット』「45 (風が強いと)」

風が強いと 地球は誰かの凧のようだ 昼がまだ真盛りの間から 人は夜がもうそこにいるのに気づいている 風は言葉をもたないので ただいらいらと走りまわる 私は他処(よそ)の星の風を想う かれらはお互いに友達になれるかどうかと 地球に夜があり昼がある その…

クロード・シモン『フランドルへの道』(平岡篤頼 訳)

それからいきなり声が変わり、調子はずれの、ふたまわりも大きい、つんざくような声で、「そこでそのデジャニールがだな……」、そこでジョルジュ、「ヴィルジニーだよ」、そこでブルム、「なにが?」、そこでジョルジュ、「ヴィルジニーという名前だったんだ…