2015-12-01から1日間の記事一覧

谷川俊太郎『六十二のソネット』「56 (世界は不在の中のひとつの小さな星ではないか)」

世界は不在の中のひとつの小さな星ではないか 夕暮…… 世界は所在なげに佇んでいる まるで自らを恥じているとでもいうように そのようなひととき 私は小さな名ばかりを拾い集める そしていつか 私は口数少なになる 時折物音が世界を呼ぶ 私の歌よりももっとた…

クロード・シモン『フランドルへの道』(平岡篤頼 訳)

とにかくそいつがだしぬけにまるで毛布を頭から投げつけられて逃げだせなくなったみたいにおれに襲いかかり、いきなりあたり一面完全に真暗になった、もしかしたらおれは死んでしまったもしかしたらあの歩哨が先におれよりすばやく発砲したのかもしれず、も…