2015-12-03から1日間の記事一覧

谷川俊太郎『六十二のソネット』「62 (世界が私を愛してくれるので)」

世界が私を愛してくれるので (むごい仕方でまた時に やさしい仕方で) 私はいつまでも孤りでいられる 私に始めてひとりのひとが与えられた時にも 私はただ世界の物音ばかりを聴いていた 私には単純な悲しみと喜びだけが明らかだ 私はいつも世界のものだから…

クロード・シモン『フランドルへの道』(平岡篤頼 訳)

なにを考えてるのよ返事していったいどこにいるのよ?と彼女がいったのでおれがふたたび手をその上において、ここにいる、すると彼女、ちがうわ、そこでおれ、おれがここにいると思わないのか? おれは笑おうとしたが彼女はちがうわあたしといっしょになんか…