津覇実明「日本国憲法のために 沖縄をテクストとして」(「現代思想1999年2月号 特集 部落民とは誰か」所収)

 憲法第一一条「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる」、同第一三条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」を起点として考察して行く、まず、ここでいう「国民」とは一体誰か。そして、「個人として尊重」されていない者は「国民」ではないという逆の命題が成立するのか。現在の「国民」と将来の「国民」が「公共の福祉」の名の下に、「生命、自由及び幸福追求に対する」権利が制限されることで、峻別されているのではないか。