斎藤環『OK? ひきこもりOK!』(「対談 宮台真司 学校を超えて」)

斎藤――結局、性の問題が大きいんです。ひきこもりの人というのは、思春期における性的弱者なわけです。いかにその人が社会参加するかに対して、性がものすごく大きな鍵を握っています。実際、性関係を確立した時点で立ち直ったりします。
 みんな発想が仕事一辺倒になっていて、とにかく就職しなくてはと考えがちです。ところが、就職しても、貧しい人間関係しかもてない状態がえんえんと続く。社会的には自閉していなくても、基本的なひきこもり状態は変わっていない。性的パートナーを得た方が、健全な人間関係を維持しやすいということがあります。ただ、これは人工的に与えられるものではない。ひきこもりというのは、男8割、女2割の割合で、男女不平等の世界です(笑)。