ゴンブローヴィッチ『フェルディドゥルケ』(米川和夫 訳)

「足。」現代性にたいするおれの関心をかきたてようとするのだ。「足にきまっている。わしはおまえたちを知っているのだよ、おまえたちのスポーツ、新しいアメリカナイズされた世代の風俗習慣のことを。手よりも足のほうがいいのさ、おまえたちにとっては足がなによりも大事なのさ。ふくらはぎ! 精神文化なぞおまえたちにはなにものでもない。ただ足だ。スポーツ! ふくらはぎ、ふくらはぎ!」むやみやたらとおれの若さにこびようとする。「ふくらはぎ、ふくらはぎ、ふくらはぎ!」