中川李枝子「たまご」

 のねずみのグリとグラは、大きなかごをもって、森のおくへでかけました。
  ぼくらのなまえは グリとグラ
  このよでいちばんすきなのは
  おりょうりすること たべること
  グリ グラ、グリ グラ
 「どんぐりをかごいっぱいひろったら、おさとうをたっぷりいれてにようね。」
 「くりをかごいっぱいひろったら、やわらかくゆでて、クリームにしようね。」と、二ひきがはなしながらいくと、とても大きなたまごが、おちていました。
 「やあ、なんてでっかいたまごだろう。おつきさまぐらいの、めだまやきができるぞ。」と、グリがいいました。
 「ぼくらのベッドより、もっとあつくて、フワフワのたまごやきができるぞ。」と、グラがいいました。「それよりも、カステラがいいや。あさからばんまでたべていても、まだのこるぐらいの、大きいカステラができるぜ。」と、グリがいうと、「そいつがいいや。」と、グラもさんせいしました。