古田足日『新版 宿題ひきうけ株式会社』
話は、まず宿題ひきうけ株式会社のことからはじまる。
この会社は名前どおり、宿題を本人のかわりにやってくれる会社だ。
たとえば、江戸時代の交通の地図を書けという宿題が出たとする。それをしらべたり、書いたりするのがめんどうくさいときは、この会社にたのめばよい。夕方までにちゃんとその地図が配達されてくる。
だから、この会社にたのんでおきさえすれば、おかあさんに、
「きょう、宿題は? もうやってしまったの?」
と、さいそくされても、
「うん、うん。なかったよ」
といって、テレビを見ておればよい。
なに、そんな便利な会社がじっさいにあったかって?
あったとも、サクラ市サクラ小学校の五年三組の連中がつくったものだ。社長も子ども、社員も子どもだった。