ニーチェ『曙光』

 ぺっ! 君たちは一つの体制に組み込まれたがっているのだ。そこでは、人は完全に車輪になりきらねばならないか、さもなければ車輪の下敷きになってしまうというのに! そこでは、誰もが上層部からなるように命じられる通りのものになってしまうことがわかりきっているというのに! そこでは、「コネ」探しが当然の義務の一つとなっているというのに! そこでは、ある男について「彼はいつかあなたの役に立つかもしれないよ」などと目配せで注意を促されても、誰も侮辱を受けたと感じないというのに! そこでは、口利きを頼むためにある人物を訪問することを誰も恥じないというのに! そこでは、以上のような慣習にわざわざ組み込まれることによって、自分は他人があまり責任を感じないで使ったり壊したりしてかまわない自然の安物陶器ですと決定的に認めてしまったことを、誰も予感すらしないというのに!

   ※太字は出典では傍点