オスカー・ワイルド『真面目が肝心』(鳴海四郎 訳)

「率直に言わせてもらいますが、あなたのお名前は私の花むこ候補者名簿には載ってないんです。もっとも私の名簿はボールトン公爵夫人と同じものですがね。二人して共同作業をしていますから。とはいえ、もしも私の質問にたいするお返事が、娘を思う親心にかなうものであるならば、いまからでもお名前を書き入れてさしあげます。さて、たばこはお吸いになりますか?」
「ええ、じつは、やるんですが」
「それはけっこう。男の方はなにかしら仕事をもってなければいけませんからね。今のロンドンには怠けものが多すぎます」