ドナルド・バーセルミ「教えてくれないか」(『帰れ、カリガリ博士』より)

 ヒューバートはクリスマスに素敵な赤ん坊をチャールズとアイリーンにプレゼントした。赤ん坊は男の子で、ポールといった。何年も子供ができなかったチャールズとアイリーンはとても喜んだ。二人でベビーベッドのまわりに立って、ポールを眺めた。いくら眺めても飽きなかった。黒い髪、黒い瞳の、器量のいい子だった。どこで手に入れたんだいヒューバート? とチャールズとアイリーンは尋ねた。銀行でさ、とヒューバートは答えた。この不思議な返答を、チャールズとアイリーンは不思議に思った。みんなでホットワインを飲んだ。ポールはみんなをベビーベッドから眺めた。チャールズとアイリーンを喜ばせることができてヒューバートは喜んだ。みんなはさらにワインを飲んだ。
 エリックが生まれた。
 ヒューバートとアイリーンは陰で関係を持った。チャールズに知られないようにすることが重要だと二人は思った。そこでベッドを買って、チャールズ、アイリーン、ポールが住む家から少し離れた別の家に据えた。新しいベッドは小さかったが十分快適だった。ポールは考え深げな顔でヒューバートとアイリーンを眺めた。情事は十二年続き、上々の関係だったとみなされた。
 ヒルダ。
 ヒルダが大きくなっていくのをチャールズは部屋の窓から眺めた。はじめはほんの赤ん坊だったのが、やがて四歳になり、それから十二年が過ぎて、ポールと同い歳の十六歳になった。何て可愛らしい子だろう! とチャールズは胸のうちで思った。ポールもチャールズと同意見だった。ポールはすでに、ヒルダの可愛い乳房の先っぽを歯で嚙んでいた。